活動報告

支部報告 108

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■中部支部 野外セミナー・レポート 平成17年6月23日
「2005年日本国際博覧会『愛・地球博』の見学」

 会期も中盤に差しかかった平成17年6月23日、中部支部主催の野外セミナー「愛・地球博見学会」が開催された。今回のセミナーの趣旨は、会場全体の設営や各展示施設が、環境保全をどのように考えているのかを把握・分析することであった。会場内の各所で環境配慮への取り組みを実感することができたが、PR活動をもう少し積極的に行えば、一般入場者の関心をさらに高められると思われた。
 会場行きバスの中では、小・中学生対象の環境学習の一環として実施されている「キッズエコツアー」ガイドの森博明氏から、会場内の環境配慮について説明を受けた。
 会場に到着後、まずNEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の燃料電池や太陽光発電システムなど、自然の力を利用した施設を対象とする「新エネルギープラント見学ツアー」に参加した。このツアーは連日予約でほぼ満員だそうで、新エネルギーに対する人々の関心の高さがうかがえる。ここでつくられた電力は、長久手日本館の必要電力を100%まかなっており、NEDOパビリオン等にも電力を供給している。会場で発生した生ゴミやペットボトルなどの廃棄物が、分別収集され燃料電池の燃料として生まれ変わっていることは、来場者に是非理解して欲しい点でもある。
 午後は、国土環境(株)の榊原至、(財)リバーフロント整備センター阿部浩司の両氏から説明を受けながら、水循環システムを体感することができた。降雨体感施設や雨水浸透技術に接することができる「くねくね体験散歩道」では、会場内に降った雨や池の水を浄化して使用している。また、「バイオラング」は世界最大級の緑化壁であり、その周囲は会場内の他地点と比べて2〜3℃低いことが確認されている。今後、緑化面積を確保しにくい都市での利用が期待できる。
 そのほか、万博エコマップを用いて会場内の自然・環境保護への取り組み施設を独自に見学する「セルフエコツアー」も体験した。このマップのおかげで、普段はなかなか気づくことのない環境配慮施設を廻り理解することができる。マップの存在をさらに周知することにより、環境保全に対する意識の醸成や向上に努めることが求められる。
(レポーター:(株)フジヤマ 平松加奈子)


■北海道支部 第1回技術セミナー・レポート 平成17年6月24日
「北海道における食の安全推進について」

講師:北海道農政部食品安全グループ 主査 長沢 基

 BSEの発生や食品表示偽装問題など、食に対する信頼が大きく揺らぐ昨今、本セミナーでは、平成17年4月に施行された「北海道食の安全・安心条例」とその取り組み状況について講演をいただいた。
 講演では、平成14年に「道産食品安全・安心フードシステム推進方針」、平成15年に「(同)行動計画」を策定した経緯や北海道独自の取り組み内容―たとえば「食育の積極的推進」に向けた具体的施策の策定、道産食品認証制度の制定、遺伝子組換え作物の開放系における栽培にともなう交雑・混入防止措置の導入―が紹介されるなど、「国内最大の食料生産地域」であり、食に関する産業が地域経済の重要な役割を担う、という北海道独自の「地域特性」や「気概」を感じさせられる内容であった。
 なかでも、日常の食生活において生産・流通の「顔」が見えづらい、という全国共通の課題に対し、「愛食の日(どんどん食べよう道産DAY):毎月第3土・日曜日」を制定して道民への普及啓発を図る、という取り組みは、ぜひ道外にも情報発信・展開を望みたいプロジェクトである。
 ちなみに、本条例と同様の条例は現在9都県で制定済みとのことであるが、今後未制定の自治体も含めた各所で地方色豊かな取り組みが推進され、地方「食」豊かな生活への取り組みが進展することを期待したい。
 さて、講演テーマである「食の安全推進」は、基本理念に掲げられる「安全な食品の生産に必要な環境の確保」の観点において、われわれの日々の業務にも非常に密接なかかわりがある。たとえば、農用地の土壌汚染防止や川・海に代表される水域環境の保全、硝酸態チッソ等による地下水の汚染防止等については、とくにわれわれが大きな役割を果たし得る(果たすべき)余地が残されている。
 環境アセスメントに携わる技術者のひとりとして、現有の技術と経験に「食いしん坊の執念」も注入して「食の安全・安心」の追求に尽力するとともに、「食」と「職」の向上を目指したいものである。
(レポーター:サンコーコンサルタント(株) 中村静也)


■北海道支部 第1回技術セミナー・レポート 平成17年6月24日
「衛星リモートセンシングによるアジア内陸黄砂のメカニズム」

講師:北海道環境科学研究センター ブホー・オーツル

 毎年春先になると決まって話題になる、アジア内陸からの黄砂問題について、発生のメカニズムからリモートセンシング解析の現状、さらにはアジア大陸と国際社会への影響について、幅広くご講演いただいた。
 黄砂は、ゴビ砂漠や中国北西部の砂漠から中国中西部の黄土地域に至る広い範囲で発生し、低気圧に巻き上げられ、偏西風に乗って運ばれる。砂漠は今も拡大し続け、黄砂の被害は中国にとどまらず、韓国や日本など広く太平洋の西岸域にも及んでいる。
 また、黄砂は近年増加傾向にあり、(1) 地球の温暖化、(2) 森林の伐採、(3) 農業用水の取水などによる河川水量の減少と地下水位の低下など、地球レベルの環境の変化も発生の要因として考えられている。
 近年は、このような地球レベルの環境変化の研究に衛星リモートセンシング技術が利用され、大きな成果を上げている。黄砂の発生源の解明にも衛星リモートセンシング技術が用いられているが、衛星観測結果および現地調査結果によると、黄砂の主な発生源は天然砂漠地域ではなく、粉塵の含有量が大きい旧河川地域や古い湖の跡、砂漠化した牧草地や荒廃した農耕地などの農牧業地域であることがわかった。
 黄砂は偏西風に乗って北アメリカ大陸まで運ばれて行くが、その間土壌の酸性度の変化や日射量の減少、雲の発生、融雪の促進など、地球環境や気候システムに大きな影響を与えていると考えられており、これらのメカニズムや影響の解明にも、衛星リモートセンシング技術は十分役立つものと思われる。
 今後、さらに拡大し続ける砂漠化をはじめとする地球規模の環境問題の解決に向け、アジアにおける日本の役割・立場、地域社会、近隣諸国との連携をさらに強め、衛星観測と解析技術の向上により気候システムが解明されることを期待したい。
(レポーター:(株)エコニクス 外崎秀和)

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