活動報告

セミナー・レポートサマリー 95


■第3回技術セミナー・レポート 平成14年3月7日
「鉄道騒音について」

講師:
(財)鉄道総合技術研究所環境工学研究部
 騒音解析研究室長 善田康雄

 鉄道騒音は自動車のそれに比べてとても複雑だ、と話には聞いていた。今回の講演によって、鉄道騒音の複雑さとは、なるほどそういうことなのかと、知ることができた。実はこれまでの業務のなかで、鉄道騒音に本格的に出会うことはなかったのである。
 よくよく考えてみると(いやいやそんなに考えなくとも…)、鉄道からはいろいろなところから音が出ていることが想像できる。一編成の列車には、いったいいくつの動力源と車輪があるのだろう!
 今回の話で驚いたことは、車輪とレールの表面(互いに接触する面)に、規則的な凹凸ができることである。これは、波状摩耗といわれるが、アスファルト面ならいざ知らず、鉄のレールも使用するうちに凸凹になってしまうのである。そのため、定期的にレール削正といってレールを平らになるように削っていくのだという(そのときの騒音が気になるが…)。そのほかにも鉄道の音源は数多く知られており、それらを踏まえた解析法、予測手法の詳細さには驚き入った。
 配布資料の冒頭に善田先生がこうお書きになっている。「ひと昔前のSLの音は、多くの人々にノスタルジックな感情を抱かせこそすれ、決して嫌われるものではなかった」。鉄道騒音が問題となったのは新幹線以降であるという。
 今から考えると、蒸気機関車は公害をまき散らしながら走っていたようなものだ。当時の人が、今の電車を見たなら、なんと静かでスマートな走りをするのかと驚くだろう。また、それにも増して、この電車の騒音を低減するために、かくも詳しい分析と検討がなされていることには唖然とするに違いない。

講演録報告書(会員のみ) >>>
(レポーター:日本環境(株)石黒浩之)

■第3回技術セミナー・レポート 平成14年3月7日
「道路交通騒音について」

講師:
国土交通省国土技術政策総合研究所環境研究部
道路環境研究室 主任研究員 上坂克巳

 道路交通騒音に関する予測手法、環境保全対策の手法とその効果、環境アセスメントを実施する際の留意事項などについてご講演いただいた。
 現在の予測手法については、(1) 単体規制を考慮した将来パワーレベルが非定常走行時については定められていない、(2) 排水性舗装の効果について経時変化を入れた予測式を作る必要がある、(3) 新型遮音壁は予測式が確立されていないことからアセスで使えない、などの課題がある。
 新しい道路騒音予測モデルASJ Model 2003を作る方向で進んでおり、パワーレベルの指向性、排水性舗装の経時変化、新型遮音壁、高架構造物音のインプット条件の見直しなどを考えている。また現在のA法、B法に加え、簡単な式で予測できるC法も提案している。
 環境基準の改定により沿道騒音の面的評価が必要であることから、道路に面する地域において何%の住居が環境基準をクリアしているか、あるいは環境基準を達成していないかというのを出さなければいけない。戸数および割合を出すことは環境基準に明記されている。
 環境アセスメントを実施する場合、実行可能な範囲での環境影響の回避・低減とされているが、実行可能な範囲という絶対的な基準はないので、事業者として常識的なところを抑えるセンスが必要となる。
騒音対策を実施する場合、一番大事なのは発生源対策である。伝搬経路の対策を行う場合は最も効果の大きいものから行うが、これを考えず対策する事例がみられる。
 最先端の開発技術として、多孔質弾性舗装とアクティブノイズコントロールを応用した新型遮音壁が、ビデオにより紹介された。
 講演の内容は現在の予測、保全対策手法の課題と、今後の予測手法の動向についても触れられており貴重なものであった。また講演最後の質疑応答では、予測、保全対策の実施に関する多数の質問があり、本講演のテーマがアセスメントにかかわる技術者にとって重要な問題であることが感じられた。

講演録報告書(会員のみ) >>>
(レポーター:(株)サンコー環境調査センター 越智昌治)

■第4回定例セミナー・レポート 平成14年3月13日
「地球環境問題の現状と課題」

講師:
環境省地球環境局環境保全対策課 課長補佐 牧谷邦明
 2002年8月、南アフリカ共和国ヨハネスブルクにおいて「持続可能な開発に関する世界首脳会議」(ヨハネスブルク・サミット)が開催される。今回の講演は、同会議における議題と課題となる点を中心に、環境省としての地球環境問題への取り組み姿勢を解説したものである。
 今日の地球環境問題は、地球規模での環境破壊が顕在化している点にある。そのため、問題解決策として、社会・経済・環境面を統合した地球規模での対応がより一層重要となっている。今回のサミットの目的は、1992年の「地球サミット」において採択されたアジェンダ21の実施項目について評価し、今後の持続可能な開発の解決策をみいだすことである。
 現在、環境省では、日本国政府としてサミットで強調すべき考え方・方策を検討中であるが、とくに東南アジア地域を見据えた環境問題への対応を強調する予定である。
 個別の課題としては、現在も拡大し続けている南極上空のオゾンホール問題がある。この対策として、フロンガスストック分の処理や途上国での取り扱いなどについて解決しなければならない。次に海洋環境汚染問題がある。現在、ロンドン条約とマルポール条約に基づき、アセスメントやモニタリングなどの対策は始まったが、一方、東南アジア地域等における沿岸人口集中地域での対策は取り残されている。さらに、酸性雨問題があり、とくに日本海側で東南アジアからの越境大気汚染問題が顕在化しつつある。この対策として、長距離越境移動、生態系影響把握のための東南アジアモニタリングネットワークを構築し始めたところである。このほか森林破壊や砂漠化もあるが、これらは今後の課題である。
 以上述べたとおり、地球環境問題はさまざまな方面にわたって解決すべき問題が山積している。今後、これらを解決するためには、広い視野に立った長期的な取り組み姿勢が欠かせない。

(レポーター:三洋テクノマリン(株)池永 宏)

■第4回定例セミナー・レポート 平成14年3月13日
「環境アセスにおけるコミュニケーションの改革−“参加型アセスのすすめ”」

講師:
環境省総合環境政策局環境影響評価課 課長補佐 小森 繁
 昨年来、環境省で検討されてきた「住民参加による環境影響評価手法検討調査」の成果をもとに、『参加型アセスの手引き−よりよいコミュニケーションのために−』が発行された。そこで、この業務に携わってこられた講師をお招きした。
 閣議アセス時代に較べると、一段と重視されるようになったコミュニケーションの問題は、質的にも量的にもその重要性が理解されながらも、行政、事業者、住(市)民ともまだまだ不慣れな面も多くみられるのが実情であったように思う。
 一方で、情報伝達の発達は私たちの日常生活から国際関係に至るまで、固まった案に対して黒白をつける方式でなく、グレーゾーンでもコミュニケーションを交わし、そのプロセスで問題解決を図る方式は、近年とみに各方面で経験を積み上げてきていることもまた事実である。それだけに、行政、事業者、住民、市民団体、コンサル等アセスにかかわる各分野において、コミュニケーション手法精通者の育成は今後の重要な目標の一つとなろう。講演のなかで「アセス・ファシリテ−ト機能」についても触れられたが、この面で私たちコンサルが今後果たすべき役割・分野は広く深いものがあると考えられる。
 とかく従来行われがちであった、既存資料をもとにした従来手法による標準的、画一的な情報収集のみでは得られない、地域固有のデータに基づく考察がコミュニケーションの基盤となってこよう。
 相互理解を深めるための貴重なツールでもあるコミュニケーション技術は、同時にまた関係者間にあって相手方から信頼されるに足る人格、識見の保持を必須条件とする。単なる知識、経験のみでは用をなさぬものであるだけに、私たちがこの方面にも歩を進めるとするならば、一層の研修、研鑚を積むにためらうことなかれ、となろう。

(レポーター:総合科学(株)小角 浩)

■技術士第二次試験受験講習会 平成14年4月3日
「最後の技術士試験に合格を!」

 国土交通省の提言(『日経コントラクション』2000.12.8)に、報告書は「結・承・転・提」「漢字は40%以内に」とあった。技術士論文にもピッタリあてはまる提言です。読み手に、最初に私の言いたいことを伝えるのが肝心です。
 7年の経験だけで技術士第二次試験を受けられるのは今年が最後です。退路はない。やるしかないのです。退路を断たれたのだから、命がけで頑張りましょう!
 自分はもう十分、技術士にふさわしいと自分で自分に言い聞かせましょう。そう思い込むことが大切です。言われ続けるとその気になるものです。営業マンが毎朝、こぶしをあげて志気を鼓舞する、あれを真似しましょう!
 計画を立てて実行することは、誰もがやることです。問題は、ちょっとつまずいたときです。ここでコケてしまってはいけません。つまずいた部分はパスしても、執念深く、あきらめないで、あくまで計画どおり準備を進めましょう!
 「今年は絶対合格するぞ!」と家族、上司、発注者に広言してまわりましょう。中国の言葉に「愚者は教えたがり、知者は教わりたがる」とあります。私みたいな愚者はたくさんいるのです。多くの人にアドバイスを求めて、合格を目指しましょう!

(レポーター:国土環境(株)新津 誠)




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