活動報告

支部報告 96

■第1回技術セミナー・レポート(中部支部) 平成14年7月18日
「循環型社会の構築に向けて」
講師:豊橋技術科大学エコロジー工学系教授 藤江幸一
「三重県における廃棄物処理センター事業とRDF化構想の推進について」
講師:三重県環境部環境プロジェクトチーム チームマネージャー 小田幸一

 中部支部の第1回技術セミナーは、KKRホテル名古屋において、標記の2題をテーマに49名が参加して開催された。
 藤江講師からは「循環型社会の構築に向けて」と題して、その目的と目的の達成方法、社会経済システム・構築の手順・日本の現状について、具体例をあげながら講義していただいた。
 循環型社会の目的は、人間活動と人間の生存そのものを永く続け、生活の質を保ち向上させる機能と富を提供し、環境負荷を低減するための手段であり、そのための具体的なビジョンを示し、あるべき姿を明確にしなければならない。その目的を達成するためのキーワードとして、ライフスタイル・生産プロセス・社会システム等々の考え方を講義から学び、改めて循環型社会の構築の難しさを再認識した。
 循環型社会の構築の手順のポイントは、物質・エネルギーの消費等におけるあらゆる点での現状把握、情報収集解析を行い、予測結果を提示して社会のコンセンサス形成・インセンティブの付与をすることである。
 日本の現状については、ドイツとの比較や国内における物質収支を国民一人あたりの資源消費量、下水処理とCO2発生量、産業の資源エネルギーの消費や循環・リサイクル、現状の環境負荷および負荷低減・環境管理そしてPRTRとリスクなど、自然環境・人間活動に関する社会から個々に至るまでの幅広い範囲の具体的な例を示して講義をされた。
 現在の環境破壊・資源涸渇の問題が、将来に多大な影響を与えることは必至である。その解決策として、循環型社会は大変重要で有効であるが、私たち一人一人の問題であるとともに社会全体の緊急課題であると感じた。
 小田講師からは、三重県の新しい総合計画課題「環境先進県づくり」における環境プロジェクトチームの施策である廃棄物の適正管理、また基本事業における21世紀の環境基本整備を推進し目標を達成するための二つの事業として、廃棄物の無害安定化・減容化、資源化を進める「廃棄物処理センター事業」と、ごみを資源に変える「RDF化構想」について講義していただいた。
 この二つの事業を実施する背景には、県内の廃棄物処分場のひっ迫や特別管理廃棄物の増大があり、資源循環社会への移行といった廃棄物を取り巻く環境の変化における現状の課題への対応として事業が推進されている。
 廃棄物処理センター事業は、廃棄物処理法改正(平成3年10月)を受けるとともに、安全性信頼性の確保された廃棄物の適正処理を目標として、創設された仕組みである。市町村等のごみ焼却施設で発生する焼却残さや、産業廃棄物の広域的な処理体制を構築するため、ガス化溶融処理施設の整備を進めている。この事業推進の経緯、整備される施設の進捗状況や課題が報告された。また、RDF化事業については、構想の概念、推進の経緯、施設の整備状況、市町村等で製造されたRDFの受け皿としてのRDF焼却発電施設整備計画を推進するなかでの課題が報告された。
 三重県が取り組んでいる二つの事業の詳細を知ることができて大変有意義であった。

(レポーター:(株)環境公害センター 金田哲夫)




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