活動報告

セミナー・レポートサマリー 108

NEXT >>>

■ 第1回セミナー・レポート 平成17年6月21日
「さいたま市の環境影響評価制度について」

講師:さいたま市環境経済局環境部環境総務課 主任 市川浩之

 さいたま市は、平成17年3月に独自の環境影響評価条例を制定した。講演では、条例における市独自の条項および事業者が留意すべき点の2点に主眼をおいて説明が進められたが、独自に設定した条項に関しては事例を交えた説明がなされ、非常にわかりやすかった。
 条例のユニークな点としては以下の三つの事項があげられる。
 第一は、さいたま市の特性を考慮した地域区分(A地域:生活環境に配慮が求められる地域、B地域:A・C地域の緩衝的な地域、C地域:自然環境に配慮が求められる地域)を行い、それに基づいた規模要件の設定と地域ごとに必須の調査・予測・評価項目および標準の項目を設定している点である。
 第二は、独自の項目として「コミュニティ」「地域交通」および「安全」の3項目を設定した点である。とくにコミュニティやバスの運行などを視野に入れた地域交通などは、アセスメントにおける住民の参加を後押しするような項目設定であり、住民参加型の制度として期待される。
 第三は、複合開発事業の規定を盛り込んだ点である。事業主体が異なっても、隣接地域において同時期に事業が行われる場合は、複合開発事業の対象となるシステムであり、実質的な大規模開発事業の環境影響評価が適正に実施されるシステムとなることが期待される。この点について会場から、制度上はこうなっているが、実際に異なる事業主体に対して、どのようにアセスの実施を求めるのかという質問が寄せられたが、これに対しては現在調整中であるとのことであった。このほか、隣接地域の判断の仕方などもまだ検討中であり、詳細については今年度中に明確にしていくという方針が示された。
 最後に、この条例に関する詳細な情報は、Webまたは出版物としても公開されており、情報の共有や市民参加にも熱心であるという印象を受けた。この制度を通じて自然と都市が混在するという地域の特性を活かし、環境共生都市として発展していくことが望まれる。
(レポーター:(株)地域環境計画 伊勢 紀)


■ 本部セミナー委員会・関西支部共催 第1回公開セミナー・レポート 平成17年8月29日
「大阪府の環境行政について」

講師:大阪府環境農林水産部みどり・都市環境室地球環境課 参事 久保忠義

 大阪府の環境行政は、「大阪府21世紀の環境総合計画」(平成14年)に基づき行われている。平成17年度の重点政策においては、「廃棄物対策とリサイクルの推進」「地球環境保全に資する取り組み」「自動車公害の防止」「水循環の再生等」「環境リスクの低減管理」「自然との共生等」および「環境配慮のための仕組みづくり」の7分野が対象とされている。
 たとえば、廃棄物対策とリサイクルでは、大阪府エコタウンプランが3個所計画されている。製鉄所における廃棄物適正処理・リサイクル事業、バイオマスエタノール製造事業など特徴ある取り組みが計画されており、今後注目されるのではないかと思われた。
環境配慮のための仕組みとして環境影響評価制度が推進されている。環境アセスメントは、大阪府では昭和59年以降に56件実施されているが、環境影響評価法の制定後には法アセス対象事業2件、条例アセス対象事業が5件実施されており、現在、法対象2件、条例対象1件が手続き中である。現状では環境アセスの対象事業は少ないようである。一方で、廃棄物処理施設をPFI事業で実施する計画があり、事業者が環境配慮を検討する過程で環境アセスメント技術者が関与する可能性もある。
 地球環境保全の取り組みについては、「大阪再生に向けた7つの戦略」「みんなで“みどり”いっぱい大作戦!」および「みんなで大阪クール化大作戦」によって、具体的で着実な効果を目指す、多くの再生重点枠事業を推進している。とくに印象深く感じられたのは、大阪湾の再生とリンクして、内陸の“みどり”の充実に注力していること、コンソーシアムによる新技術開発等に取り組んでいることなどであった。
 ところで、いただいた名刺にはマスコット動物が印刷されている。マスコットは、「もっと考えたり、行動したりすれば、きっとすばらしい未来が待っているよ」と言っている。環境率先行動にかける、府の並々ならぬ熱意が感じられる。
(レポーター:協会事務局 成田 茂)


■ 第2回セミナー・レポート 平成17年7月26日
「地上デジタルテレビ放送の最新動向とデジタル放送の電波障害予測及び対策」

講師:日本放送協会営業局視聴者技術センター チーフ・エンジニア 工藤富夫/南 圭

 地上デジタルテレビ放送は、2003年12月から東京、大阪、名古屋で先行して開始されており、2006年内に全国県庁所在地で実施、2011年にはすべてデジタル化される予定である。このように、地上放送のデジタル化が、国の政策として進められているなかで、地上デジタルテレビ放送の最新動向とデジタル放送の電波障害予測及び対策について、それぞれご講演いただいた。
 地上デジタルテレビ放送は、高画質でゴーストのない鮮明な映像や、双方向などの高機能、さらには地域に密着した情報提供など、期待できるサービスが予定されている。今回の講演では、これらに関し資料映像による紹介もあり、そのサービスイメージが非常に具体的に伝わって来た。ただ、私個人の感想かもしれないが、デジタル化が進みつつあることが、日々の生活において実感されていない。デジタル化された場合の受信には、一部のケーブルテレビを除いてチューナー、UHFアンテナ等がさらに必要になるが、現在の私の認識では、実際の導入時には、かなりの混乱が起きるに違いないと考えている。
 録画後のコピー制限などについても、完全デジタル化までの間に十分理解しておく必要があるような気がしている。また、デジタル化にともなう建造物による電波障害は、われわれにとっても重要な課題である。基本的には、アナログ放送の場合と同様と考えられるが、デジタル放送の特性として雑音に強く、受信状態が劣化してもある程度までは画質劣化は生じない。しかし、アナログと違って画質の状態からの障害原因の推測は難しい。講演では、その予測に用いるビット誤り率(BER)について、また必要な端子電圧を得るために検討中の中継局の設置などの対策についてご説明いただいた。
 近年、都市部の再開発地域における高層ビルの建設が増えており、今後ますます電波障害への対応の必要性が見込まれるが、アナログとデジタルが併存している現在、将来にそなえてデジタルの特性を良く理解し準備しておくことが重要であると感じた。
講演録報告書(会員のみ) >>>
(レポーター:日本エヌ・ユー・エス(株) 堀内和司)


NEXT >>>



TOPに戻る