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講師:
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埼玉県環境防災部環境推進課 環境影響評価担当副参事 江原洋一
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埼玉県では、平成14年3月に「埼玉県戦略的環境影響評価実施要綱」が制定され、平成14年度から施行される。東京都においても、「総合環境アセスメント制度」の導入が試行され条例化される動きがあるが、計画段階でのアセスメントについて、要綱を制定し、制度として実施するのは埼玉県が初めてである。
本要綱に基づいて実施される「戦略的」環境影響評価は、計画策定者が対象となる事業の計画立案段階において、当該計画が及ぼす環境影響の調査・予測・評価を、関連する社会経済的影響の推計と連携しつつ行うことをいう。この手続きを経て得られた結果(原案)は、事業計画に十分反映されるとともに、その後、さらに環境影響評価条例に基づく事業アセスの対象となる。対象となる計画は、埼玉県環境影響評価条例の対象事業のうち、県(一部、市町村を含む)が策定する計画であり、主な手続き内容は、計画書の提出、報告書の提出およびこれらにともなう公告・縦覧、説明会、公聴会である。
本アセスのとりまとめに関する特徴的な点としては、(1) 事業計画の複数案が比較検討されること、(2) 当該対象計画を実施しない場合における環境の状況の推移についてとりまとめること、(3) 環境影響に対する評価ならびに事業効果、社会的な影響など社会経済要素についての検討が行われること、(4) 個々の原案毎に総合評価を行うことなどがあげられる。
現在、埼玉県では本アセス実施のための「技術指針」および「技術指針実務参考」を作成中とのことである。また、第1号審議案件として「地下鉄7号線延伸線基本計画」(計画策定期間:平成14年度〜16年度)が予定されているという。複数の原案をどのように報告書の中でとりまとめるか、あるいはどのようにして総合評価を行うかなど、非常に興味深い点が多い。第1号審議予定案件の経過を期待をもって注目していきたい。
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