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■教育研修委員会 平成14年10月3・4日 |
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「平成14年度環境アセスメント入門研修会」 |
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平成14年度の入門研修会(東京会場)が10月3・4日の2日間、東京・千代田区の日本都市センター会館で開催された。入社(経験)3年目未満の約70名が参加して、「日本の環境アセスメント制度」の概要から環境影響評価に含まれる各分野のアセスメントの手法まで広範囲に学んだ。 環境影響評価を行う際には幅広い知識・経験が必要となる。本研修会は、アセスメントにかかわるさまざまな分野の基礎から調査・予測手法について知ることができて、今まで専門分野しか学んでこなかった私には、非常に有意義なものであった。また、第一線で活躍されている講師の方々の講義は、経験に基づく実感のこもったものであり、得ることが多かった。なかでも、環境影響評価の技術指針の策定に携わった講師の方から策定までのさまざまな意見のやりとりなど、具体的な経緯を聞くことができたことは、技術指針の文章の真意を垣間見られる非常に貴重な経験であった。 最後の講義では、現在の環境アセスメント制度の問題点について意見交換し、定量的な評価手法の必要性や現行のアセスメント制度の限界などについて、同年代の仲間と問題意識を共有することができ、今後の技術者人生の大事な土台になったと思う。 |
(レポーター:日本工営(株) 村上まり恵) |
■教育研修委員会 平成14年10月29・30日 |
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「平成14年度環境アセスメント部門別研修会」 |
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今年も10月29・30の2日間、日本都市センター会館で部門別研修会が行われた。今回の研修会は環境アセスメントの実務経験5年以上の方を対象に、北海道から九州まで全国から118名の参加者があった。 研修は生活環境の「大気」「水・土壌」部門と、自然環境の「海域」「陸域」部門の4部門に分かれて、全部で26コマの講義が行われた。講師の先生は行政・大学など各部門の専門の方にお願いした。生活環境・自然環境のそれぞれに関する環境アセスメントの審査事例に始まり、各部門ごとに環境調査、予測評価手法、さらに環境保全対策の考え方など広範囲にわたり専門的でかつ高度な講義が行われた。今年も研修会の部門ごとに、全カリキュラムを受講した方には修了証が発行された。そのためか遅刻する受講者はあまりなく、皆熱心に受講され、有意義な研修会となった。なお、テーマと講師は以下のとおりである。 |
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(教育研修委員会委員長 高山 登) |
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■第1回技術セミナー・レポート 平成14年10月21日 |
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「環境アセスメントと里山の保全」 |
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講師:東京情報大学環境情報学科 教授 ケビン・ショート ケビン・ショート先生の故郷である米国では、国土が広いこともあって、人の手が加わっていない自然(wilderness)が多い。これに対し日本の場合、自然といえば里山(country site)が主体である。しかも同じ里山であっても、米国では農業企業が発達しているので、広大な土地を1種類の作物で埋め尽くすことが多いが、日本では小さな土地にいろいろな作物を栽培するので、多様な環境が形成される。すなわち、日本では里山の重要性がきわめて高いのである。 里山は、雑木林や水田、小川、畑などがモザイク状に入り混じった形で成立している。そこに生息する生物も、それぞれの場を行き来しながら生活する。トンボの場合、産卵するのは水環境だが、餌をとるのはそこから離れた畑や林、といった具合だ。だから、里山の生物多様性を維持するためには一つの生息場を保全しただけでは効果があがらない、という理論が成り立つ。 また、人の暮らしとともにある里山の自然環境を保全することは、生態学の知識だけでは不可能だ。たとえば、ニホンアカガエルは2月ごろ産卵するので、その頃に水田に水が引かれていないと具合が悪い。しかし、いくら環境保全といっても、2月から水を引くことは農家にとって負担が大きすぎるという現実も忘れてはならない。里山の自然を考えるとき、こうした視点を無視できないのだ。 ケビン先生のお住まいの近くには、まだ里山が残されているそうだ。それでも最近では、水神さまの周りを除けばイモリが少なくなっているらしい。いうまでもなく、水神さまの周りの開発は気が引けるといった事情があるためだ。この例をみても、里山の自然保全と精神文化が無関係でないことがわかる。 最後にケビン先生の言葉を紹介しよう。「里山には歴史がある。だから短い期間でアセスメントをするのは困難である。それでも、うまくやりたいなら地元の人に歴史や土地の移り変わりをうかがうことだ」。こうした謙虚な気持ちこそが、自然環境保全の原点であることを改めて知った。 |
講演録報告書(会員のみ) >>> |
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(レポーター:(株)日本海洋生物研究所 大屋二三) |
■第1回技術セミナー・レポート 平成14年10月21日 |
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「環境アセスメントと里やまの保全」 |
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講師:千葉県立中央博物館生態・環境研究部 部長 中村俊彦 日頃、環境アセスメント業務に携わるなかで、“里やま”に関連することがかなり多いことに気がつく。それは、里やまが人の生活圏の縁辺部にあって、里やまを舞台とした生産活動の空洞化とも重なりながら、近年の人々の利便性を追求する開発圧力を常に受けてきたことを反映しているのだろう。 この講演では、谷津の奥部などの市街化調整区域に貴重種が多く、この貴重種の分布に遺跡の多い場所が重なっていることが示され、人と自然のかかわりの永い歴史のなかで形づくられた“里やま”について、改めて認識することができた。コミュニティの境界(“非武装地帯”)には「境の神」、道祖神などが祭られていることなど、人と自然との間に“信仰心”みたいなものも根ざしているように感じられ、興味深かった。 会場からの質問にあったが、このような里やまを保全するアセスメントの手法として、自然環境調査のみならず、歴史的・経済的・社会的背景(風土?)を評価の視点として持つ必要も出てくる。具体的には、市民の判断を評価指標に加える(「地域の人が“いい”と思ったら残す」的な)ことも有効だろうとの回答だった。 また一方で、現在空洞化している里やまでの生産活動を再生させることも、里やま保全の絶対条件であることは間違いない。となると、ある特定の開発事業に関する環境影響評価とは違った次元で、環境資源の適正な認識のための調査や、データに基づいた適正な都市のデザインが必要な気もする。 「コンサルタントとして、環境のお医者さんの“代役”を」との言葉が、強く印象に残る。保持・復元のプロセス(現場〈現実〉→診察→診断〈処方〉→管理〈治療〉→目標〈運営・利用〉)を実践してみたい。 |
講演録報告書(会員のみ) >>> |
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(レポーター:(株)パスコ 早坂竜児) |
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