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■北海道支部 第2回技術セミナー・レポート 平成18年11月28日 |
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戦略的環境アセスメントの動向について |
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![]() 本講演は、当協会会長の栗本洋二氏により、戦略的環境アセスメントの動向について説明していただいた。栗本氏は戦略的環境アセスメント(SEA)のわが国における制度化に向けて、国内外の関連制度の実施状況について総合的な調査研究を行う「戦略的環境アセスメント総合研究会」の検討委員としてもご活躍されており、これまでの検討の経緯を分かりやすく説明された。 わが国では、東京都や川崎市等において制度的な取り組みが進められているが、本格的な実施事例はまだ少ないものと思われる。SEAの意義は、環境配慮に関する意思決定の取り込みにあたり、SEAの結果が他の意思決定に確実に反映されることが必要であり、SEA導入にあたっての留意点として、以下の点についてご説明いただいた。
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(レポーター:(株)ドーコン 中山 亮) |
■北海道支部 第2回技術セミナー・レポート 平成18年11月28日 |
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北海道の海藻−磯焼け問題 |
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![]() 今から35億年前、光合成能力を獲得した藍藻がはじめて誕生した。その後、藍藻類の大増殖時代、15億年前の真核生物の誕生を経て、藍藻類は緑色植物、不等毛植物、渦鞭毛植物等の藻類へと進化を遂げた。その光合成作用の産物である酸素によるオゾン層の形成は、水生動植物の上陸を可能とし、陸上生物の繁栄を導いた。このように、藻類は生命体の進化の過程で大きな役割を果たしてきた。また、海藻類は、食材や医薬品・健康食品等の原料としてわれわれの生活にとって不可欠な生物群と言えるであろう。 海藻群落は、物理・化学・生物的環境の微妙なバランスの上で成り立つものであるが、近年北海道の日本海沿岸ではこれらの均衡が崩れ、ワカメやコンブなどの海藻が生えず、サンゴモと呼ばれる石灰質の海藻で覆われる磯焼け現象が深刻な問題となっている。そこで北海道では、水産庁の委託により、平成2年から寿都町で磯焼け現象の解明と磯焼け漁場の有効利用を図る事業を開始した。調査を実施した北海道立水産試験場は、磯焼けはウニの食圧が主原因であるという仮設を立て、海底にウニの除去区を設置し、その後の変移を詳細に観察した結果、除去後約3か月頃から珪藻類やナンブワカメ等の生育が見られ始め、約6か月後には浅所から深所までさまざまな海藻類が繁茂し海藻群落が形成された。このように、磯焼け状態の海もウニを除去することによって藻場が形成され、漁場が再び造成できることが実証された。しかし一方で、ウニも重要水産資源のため、ウニの生産性も同時に向上させるような手法の開発が必要と考えられる。この講演を受け、人為的な生態系操作は、自然治癒力を利用して生態系を回復させるきわめて有効な手段であることが理解できた。ただし多くの場合、生態系のバランスが崩れるのはわれわれ人間の社会活動にともなうという事実を認識し、このような事態を事前に回避できるよう、節度ある行動を心がけるべきと強く感じた。 |
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(レポーター:(株)野生生物総合研究所 仲島広嗣) |
■関西支部 第2回セミナー・レポート 平成18年12月8日 |
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環境政策の今後の方向と環境アセスメント制度の役割 |
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![]() ※平成18年6月開催の第1回セミナーと同一テーマで開催。 ![]() 平成5年の環境基本法の成立時に策定された環境基本計画に関しては、これまで点検と見直しが実施されてきた。環境政策の体系化、「循環」・「共生」・「参加」・「国際的取り組み」の4つの長期目標が平成6年の第一次計画で策定され、さらに持続可能な社会を目指すことの再確認と実施のための戦略的プログラムの策定、ならびに「汚染者負担」・「環境効率性」・「予防的原則」・「環境リスク」の4つの基本的考え方が平成12年の第二次計画で策定された。 第三次計画では、(1) これまでの計画をより具体化した4つの目標の長期的視点での展開、(2) 計画の進行評価指標の導入、(3) 基本法第3条の基本理念の確認が策定されている。これは、「持続可能な社会」の意義を環境、経済、社会の統合とすることにある。具体的には、第二次計画での戦略プログラムを重点分野政策プログラムとして整理・改称したものであり、内容としては(1) 地球温暖化問題に対する取り組み、(2) 物質循環の確保と循環型社会の構築のための取り組み、(3) 都市における良好な大気環境の確保に関する取り組み、(4) 環境保全上健全な水循環の確保に向けた取り組み、(5) 化学物質の環境リスク低減に向けた取り組み、(6) 生物多様性の保全のための取り組み、(7) 市場での環境の価値が積極的に評価される仕組みづくり、(8) 環境保全の人づくり・地域づくりの推進、(9) 長期的な視野を持った科学技術、環境情報、政策手法などの基盤整備、(10) 国際的枠組みやルール形成の国際的取り組みの推進、から成り立っている。 環境アセスメントの視点からは、戦略的環境アセスメント(SEA)を用いた環境配慮のための手法の確立や2050年を見据えた超長期ビジョンの提示などが必要となってくる。実際的なツールとしてはさまざまな指標が考えられ、これら指標の確実な定着、行政機関の連携ならびに基本計画の考え方の定着が今後の課題となるが、環境政策の推進には環境アセスメントの役割が大きいと感じられた。 |
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(レポーター:(株)ユニチカ環境技術センター 網本博孝) |
■関西支部 第2回セミナー・レポート 平成18年12月8日 |
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主務省令の改正のポイントおよび環境アセスメント制度の運用状況について |
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![]() ※平成18年6月開催の第1回セミナーと同一テーマで開催。 ![]() 環境影響評価法の基本的事項については、最新の科学的知見や環境影響評価の実施状況を踏まえて5年程度ごとに点検を行い、その結果を公表することとされている。そのため、平成17年3月に基本的事項の告示が、平成18年3月には13種類の事業にかかわる主務省令のすべてが改正され、平成18年9月30日に施行された。 本セミナーでは、主務省令の改正、制度の運用状況、アセスにおける課題およびアセス図書の作成等における留意点、最近の事例(道路、発電所)について説明がなされた。 とてもタイムリーな話題であり、また審査をされている方から直接お話を拝聴できることから会場は満席となり、この話題に対する会員諸氏の関心の高さがうかがえた。 さて、主務省令改正のポイントとして説明されたのは、主に以下の2点であった。
今回の改正は、複数案の検討や不確実性への配慮など、従来から必要とされていたことを改めて明確化したものである。これらも含め、環境関連法は日々変化しており、われわれ技術者は、法改正やそれにともなう新しい技術に対応できる知識と経験を積む必要があると感じた。 今後とも、更なるアセスメント技術の向上に努めていきたいと考える。 |
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(レポーター:(財)日本気象協会 坂本重次) |
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